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意図なきリーダーの下で人は動かない
経営者をはじめ、リーダーの仕事は人を動かすことである。
戦略を考える。
仕組みをつくる。
組織の方向性を示す。
現場の細かな問題にも向き合う。
大きな観点から細部に至るまで、考えるべきことは山ほどある。
その中で、私が重要だと思っているものがある。
それは「意図」である。
「なんとなく決めた」では人は動かない
組織の中では、日々さまざまな決断が行われる。
ルール変更、新しい取り組み、人事、会議の進め方、方針転換。
そのとき、リーダー自身が、
「なんとなくこっちの方が良さそうだから」
という感覚だけで決めてしまうことがある。
もちろん現実には、すべての判断を100%論理的に説明できるわけではない。
経験や直感が働く場面もある。
しかし、その奥には最低限、
「なぜこうしたいのか」
「なぜ今やる必要があるのか」
という意図が必要である。
意図がなければ、人はリーダーの本気を感じない。
そして、本気を感じないものに、人はなかなか動かされない。
意図があるから反発も起こる
ただし、意図を持つと必ず良いことばかりではない。
反対意見も出る。
「なぜ変える必要があるのか」
「今のままでいいではないか」
そう感じる人もいるだろう。
しかしそれは自然なことである。
作用に対して反作用が起こる。
これは自然の理である。
何かを変えようとすれば、揺れは起こる。
だからといって反発を恐れ、
曖昧な言葉で包んだり、
誰にも何も感じさせないように進めようとすると、結局何も動かない。
動かない組織は、止まっているように見えて、実は少しずつ弱っていく。
意図を示すかどうかは、また別の判断である
ここは少し難しいところである。
意図を持つことと、意図をすべて見せることは同じではない。
状況によっては、今は言わない方がいいこともある。
政治家などはまさにそうだろう。
本音を100%そのまま出せば、余計な混乱を生むこともある。
だから「示す」「示さない」は判断である。
しかし少なくとも、自分の中には明確な意図を持っていなければならない。
それがなければ、判断そのものが場当たり的になってしまう。
『沈黙の艦隊』の言葉
漫画『沈黙の艦隊』で、主人公・海江田四郎が、
潜水艦の艦長は、自分の決断の理由を乗組員に説明できなければならない
というようなことを語っていた記憶がある。
潜水艦は逃げ場のない空間である。
そこで艦長の判断ミスは、乗組員全員の命に直結する。
だからこそ、「なぜそうするのか」を自分の中で徹底的に考え抜く必要がある。
これは極限状態の話ではある。
しかし、経営や組織運営も本質は近いと思う。
規模の差こそあれ、リーダーの判断は誰かの人生や時間に影響を与えている。
だから、常に意図を問い続ける必要がある。
意図を一人で抱え込まない
ただ一方で、意図を一人で考え続けるのは危険でもある。
人は自分だけで考えていると、思い込みが強くなる。
視野も狭くなる。
だから信頼できるパートナーの存在が重要になる。
反対意見を言ってくれる人。
違う視点をくれる人。
「その意図、本当に伝わるか?」
と問い返してくれる人。
リーダーに必要なのは、答えを持つことだけではない。
意図を磨いてくれる存在を持つこともまた、大切な仕事なのだと思う。
豊アルケミー株式会社
代表取締役 桐山 宗久