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環境破壊の太陽光パネルは厳しい規制が必要
先日、日経新聞の一面トップに
「太陽光パネル 再利用義務」
というタイトルの記事がありました。
日本中のあちこちでソーラーパネルが空き地や山林を席巻しています。
こんな問題が生じるのは、普及を目指す段階ですでに分かっていたことです。
リサイクルというのはコストが見合わなければ成り立ちません。
アルミや鉄・銅などが有価物として、リサイクルされているのは新材を使うよりも経済的優位性が高いからです。
材料としての純度が高ければ、リサイクル材としての価値は高くなります。
逆に、異種金属同士が組み合わされ、解体困難なものはリサイクル材としての価値が非常に低くなります。場合によっては産廃となります。
また金属と一口に言っても、大半は合金として世の中に出回っています。
合金とは、金属の中に別の金属を混ぜ合わせたものです。金属同士の組み合わせや配合量によって強度が高くなったり、腐食しにくくなるなど、いろんな性能が発揮されます。
例えば、アルミホイール、アルミ缶、アルミサッシ、やかん・鍋、すべて種類の異なるアルミ合金です。これは銅や鉄も同じで、ものによっては別の金属でメッキされています。
そして現在の技術で混ぜ合わされた金属の純度を上げることは非常に困難です。実験室レベルではできても、大量に処理することはできません。
太陽光パネルはガラス、シリコン、アルミニウム、鉄、銅、プラスチックなどで構成されています。
電気を起こすのはシリコンですが、合金です。合金の種類もいろいろあるようで、中にはヒ素やカドミウムといった有害成分を含んでいるものもあります。
なぜこのような製品が安易に普及してしまっているのか謎でしかありません。
製品は複合的にできており、それらを分解することは何とかなると思いますが、なかなか難しいものです。
たとえばシールを張るのは簡単ですが、きれいに剝がせない経験をしたことがあると思います。
製品のリサイクルは更に大変です。そもそも製品は簡単に壊れないように作られているからです。
製造者はリサイクルのことは何も考えていません。
でもリサイクルのことを考えすぎると、何も作れなくなってしまうだろうとも思います。
安全に処分できるのであれば、それでよいですからね。
ただし、太陽光パネルのように普及規模が大きく、環境負荷への悪影響があるものについては設計段階から処理方法やリサイクル方法を確立しておく必要があります。
そして廃棄といった最終処分のコストまで含めて考えないと、現状のように野放し状態で設置されていくことになります。
リサイクルについて
・製品単体レベルで分離することは大変だけど可能
・物質レベルで分離することは無理
ということをお分かり頂けたと思います。
またリサイクルには更に2つ問題があります。
ひとつは物流です。
リサイクルコストの中で大きな割合を占めるものです。
有価物である金属は一般的にキロ単価で値付けされます。つまり一回の運搬で運べる重量で金額と運搬費の差し引きすることになります。
重量が少ないと、リサイクル業者は回収に来てくれません。
ですのでこういった場合は、排出元(所有者)が運搬費を別途で支払うことになります。
そうすると排出元がコスト負担することになりますが、ここがハードルになります。
「お金払って処分しなきゃいけないの?」と。
冒頭の記事のとおり、太陽光パネルをリサイクルを義務化しても、太陽光パネルが有価で買取されるでしょうか?
現状は処分費を取られています。物体としてはリサイクルされるでしょうが排出元(所有者)は処分費の負担を覚悟しなければなりません。
2つ目の問題が設置場所での解体と復旧です。
屋根上設置の場合は、屋根の形状によって解体工事の費用が大きく異なるでしょう。
足場を組む工事が必要であれば、かなりの出費となるでしょう。
しかし許容範囲程度ではないかと思います。
問題は山林を削って設置してある場合です。
日本全国のあちこちに、相当な斜面に設置しています。
所有者はコスト負担する覚悟はあるのでしょうか?
発電で得た利益が吹っ飛ぶ可能性がありますから。
そうすると放置が最善策になります。
廃棄しないでおくのが一番よいことになってしまいます。
廃棄する、しないの判断を合理的に判断する手段がない以上、そうなるでしょう。
最終的にリサイクルのコスト負担はおそらく税金でしょう。
発電で利益を得た者が逃げ得になる未来が見えます。
政府が太陽光パネルの再利用義務を検討し始めたのはよいですが、再利用にいたるまでのステップを法律で規制しないと美しい国土が壊されてしまいます。いやもうすでに壊されています。
まずできることは太陽光パネルの新規設置を厳格に規制することです。
これ以上の安易な普及は環境破壊です。