News 新着情報

ナッジ理論の実践 絵本『どうぞのいす』うさぎさんに学ぶ
絵本「どうぞのいす」
あらすじはこんな感じです。
いすを作ったウサギが原っぱに「どうぞのいす」という看板と一緒に椅子を置いて、去っていきます。
そこにロバさんがやってきて、どんぐりの入ったかごを椅子の上に置き、近くの木の下に昼寝に行ってしまいました。
次に来たのは、くまさん。「どうぞ」と書いてあるので、どんぐりを全部食べてしまいました。そのままでは申し訳ないので、はちみつを置いていきます。
その後、他の動物たちが次々にやって来て、椅子においてあるものを食べては、自分たちが持ってきたものを置いていきます。
ロバさんが目を覚まして椅子に戻ってくると、どんぐりが栗に置き換わっていてびっくり、というお話です。
主人公のうさぎさんの行動と結果をまとめます。
・椅子を自分で作ってみる
・原っぱに椅子を置く
・椅子の横に「どうぞのいす」と書いた立て札を立てる
・椅子を起点に「どうぞ」の連鎖が起きていく
こうした仕掛け人的な行動が、企業経営者として、とてもシンパシーを覚えます。
ちょっとしたアイデアで人々に行動変容を起こさせ、世の中がポジティブな方に動いていく。
こんなに素晴らしいことはありません。
行動経済学にナッジ理論というものがあります。
ナッジ理論とは、行動経済学の一分野で、人間の行動心理を利用して、人々の行動をそっと後押しする理論です。
ナッジ理論の主な特徴は次のとおりです。
人間の心理的傾向や行動パターンを利用する
選択肢を制限することなく、当人にとって気分よく、よりよい選択を促す
命令することなく、コストをかけずに実行できる
ナッジ理論の提唱者は、アメリカのシカゴ大学リチャード・セイラー教授と法学者キャス・サンスティーン教授で、2008年に書籍「NUDGE 実践 行動経済学 完全版」を出版しました。Google, Search Labs | AI による概要
具体的な例として「便器のハエ」が有名です。男性用小便器にハエのシールを張り付けることで、おしっこをするときに何となく的当てしたくなる心理状態となります。その結果、便器の外への尿こぼれが減少し、清掃費が減らせたという実績があります。
ここで大切なのは、対象者に意図を汲み取られないようにすることです。
何かの目的に誘導されていると感じると、人は不快に感じますからね。
その点でうさぎさんのナッジは素晴らしいと思います。
ビジネスや地域活動の中で、自分もどうぞのうさぎさんになれたらなと思います。
豊アルケミー株式会社(旧:株式会社豊アルミ工業)
代表取締役 桐山 宗久