『アメリカの強さ』 ゼロからのシステム構築 | 豊アルケミー株式会社

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『アメリカの強さ』 ゼロからのシステム構築

フロリダ州にあるケネディ宇宙センターを訪れた。
その瞬間、動物的な本能で直感した。──「アメリカにはかなわない」と。
過去も現在も、彼らに戦争で勝てるはずがないとさえ思った。

人類を月に送り出し、スペースシャトルを作り上げる。
そんな夢物語のような目標を、本当に達成してしまう圧倒的なパワーとスケール感に、私はただただ感動した。

巨大なシステムをゼロから作り上げる。
アメリカの底力とは、まさにこのことだ。
目的のためには手段をいとわず、細部に至るまで徹底的にこだわる姿勢に、心から敬意を覚えた。

スペースシャトル「アトランティス」の外部タンクと、2基の固体ロケットブースター。
これらを目の当たりにした瞬間、私ははっきりと理解した。
アメリカ人のマインドとは、巨額のコストや人命という多大な犠牲を払ってでも、人類初の挑戦に臆せず挑む精神なのだと。

アトランティスは、3代目のスペースシャトルとして1985年に打ち上げられた。
初代コロンビアは1981年に、そして1986年にはチャレンジャー号の爆発事故が起きた。
あのとき、子どもだった私はテレビで爆発の映像を見た。
命の危険をも恐れず、新たな境地へ踏み出そうとする人間たちの姿に、今でも胸が熱くなる。

スペースシャトルを打ち上げ、宇宙空間で船外活動を行う──
この壮大な計画を実現するためには、細部の欠陥は一切許されない。
大きな構想と小さな積み重ね、そのすべてが誤りなく結びついていなければならない。

理論と実践が一致し、さらに、生身の人間が乗り込むのである。
しかも、その人々は人類にとってかけがえのない、極めて優秀な存在だ。
「そんなこと、わざわざしなくても」と思う人もいるかもしれない。
しかし、こうしたチャレンジから得られた知見は、やがて私たちの豊かな暮らしへとつながっていく。
それは、たいてい後になって気付かされるものだ。
目の前で役に立つかどうかではない。

人類初の月面着陸を成し遂げた三人の像を見上げながら、ふと思った。
日本人にも、素晴らしい資質がある。
しかし、アメリカとの決定的な違いは、フロンティア精神と好奇心を尊ぶ文化ではないか。

もちろんアメリカも、失敗を重ねる。
しかし間違えたら、すぐに改める。
一方、高齢化が進む日本は、先がないことを分かっていながら現状維持を選びがちだ。
これは非常に残念なことである。

ゼロスタートどころか、他国で当たり前にできていることすら、言い訳を並べて取り入れない。
変化を嫌い、人の挑戦を嘲笑する。
これでは、よくなるはずがない。

人々が豊かになることよりも、既存システムの維持を目的化してしまっているのだ。
あなたの身の回りでも、そんな空気を感じることはないだろうか?
もし何も感じないとすれば、自分の感性の鈍さに気付いた方がいい。
かなり厳しい言い方にはなるが、私は「変えられない」と思い込む日本人のマインドを、本気で変えたいと願っている。

最後に──ケネディ宇宙センターを訪れて、どうしても伝えたいことがある。
月面着陸やスペースシャトルのような壮大なプロジェクトを成し遂げたアメリカだが、フードコートのシステムだけは破綻していた。
ランチの注文をしてから、90分も待たされたのだ。

この問題については、また別の機会に考えてみたい。

豊アルケミー株式会社
代表取締役  桐山 宗久