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「リーダー」と呼んでいたが、求めていたのは「マネージャー」だった
責任あるポジションを任せたい人に対して、私はよく「リーダーになってほしい」と声をかけてきた。
だが、最近ふと違和感を覚えた。
もしかすると私は「マネージャーとして動いてほしい人」に対して、「リーダー」という言葉を使ってしまっているのではないか。
呼び方の問題だと思っていたが、実はもっと深いところにズレがあるのではないかと感じている。
言葉は、ただの記号ではない。
言葉に含まれる期待や意味が、そのまま人の行動や評価に影響する。
だからこそ、リーダーとマネージャーの違いを、今一度、明確にしておく必要がある。
リーダーとは、ビジョンを掲げ、人を巻き込み、変化を促す存在である。
一方でマネージャーとは、今ある仕組みを安定的に動かし、業務の進捗や品質を管理し、組織を整える存在である。
マネージャーに対して、リーダー的な振る舞いを求めてしまうと、求める行動と本人の得意領域にズレが生まれる。
たとえば、数字の管理や工程の最適化に長けた人材に、「周囲を鼓舞して改革を起こしてほしい」と言えば、本人は戸惑うだろうし、評価されないことに不満を感じるかもしれない。
それは、期待のすれ違いによってモチベーションを下げてしまう危険もはらんでいる。
これは私のマネジメント側の問題である。
役割の設計が曖昧だったのだ。
リーダーという言葉の響きに、なんとなく格好良さを感じていたし、そう呼ぶことで相手のモチベーションを高められるような気がしていた。
だが、それは逆効果だったのかもしれない。
組織にとって、リーダーもマネージャーも重要である。両者は対立概念ではない。
むしろ補完関係にある。
安定を保つ存在がいてこそ、大胆な変革にも挑戦できる。
変革のビジョンを語る人がいてこそ、日々の運営にも意義が生まれる。
だからこそ、まずは概念の整理が必要だ。マネージャーに求めることは何か。
リーダーに求めることは何か。
その言葉の使い分けが、期待値の調整につながり、適切な育成や評価の土台にもなる。
私は今後、「リーダー」という言葉を使うときに、自分が何を求めているのかを、より丁寧に考えたい。
そして、マネージャーにはマネージャーとしての力量と貢献を正しく評価し、必要であればリーダーシップの要素を段階的に育んでいく、そんな組織運営を心がけたいと思う。
豊アルケミー株式会社
代表取締役 桐山 宗久