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『社員が輝く場所は、会社だけじゃない』 PTA活動から見えた、企業のCSRのかたち
「拝啓、社長殿。御社の社員さんは、実に素晴らしい方です。地域に貢献され、リーダーとして活躍されております。」
そんな手紙を本気で書きたくなるような衝動に駆られた出来事があった。
私は今年度、中学校のPTA会長を務めている。
先日、市内の別の学校のPTA会長さんと、個別にお話しする機会があった。
実務的な話を交わす中で、お互いの仕事や家庭といったパーソナルな話題にも及び、とても有意義な時間となった。
その中で彼は、PTA活動のために有給休暇を使うことに対して、勤務先の上層部が快く思っていないと打ち明けてくれた。
会社勤めをしながら地域活動にも尽力するその姿勢には、心から感動した。
彼自身は非常に有能な人物で、
「サラリーマンでもPTA会長が務まるような組織に変えていきたい」
と熱く語っていた。
地域性があると思うが、長らくこの地域のPTA会長は自営業者か公務員が担うことが多かった。
私もかつて小学校のPTA会長を務めた経験があり、その後任として会社勤めの方にお願いしたことがある。
引き受けてくださり感謝していたが、後日、その方がPTA活動で有給を取得していたことが査定に響いたと聞かされたときは、申し訳なさと共に、やるせなさが込み上げてきた。
中小企業の多くは、人的余裕がない。
これはよく理解している。
私自身、金属リサイクル業を営む中小企業の経営者である。
しかしそれでも、自社の社員が地域のために活動し、リーダーシップを発揮していることを、なぜ評価しないのかと問いたい。
頼りにされる人間というのは、どこへ行っても頼りにされる。
会社という枠を超えた場所でも信頼され、責任を果たす人材こそ、会社の財産である。
社員が地域のボランティア活動で活躍することは、
CSR(企業の社会的責任)
と捉えられないだろうか?
それは、企業が地域社会にどう関わるかを示す、極めて価値の高い行為である。
PTAなどのボランティア活動は、単なる「お手伝い」ではない。
責任と判断が求められ、学びと成長の機会に満ちた、実践の場である。
言い換えれば、無償でリーダー研修を受けているようなものだ。
だからこそ、私は世の中の社長たちに声を大にして言いたい。
社員が社会に貢献することを、どうか応援してほしい。
それはやがて、会社にとっての誇りとなり、価値となって返ってくるはずである。
豊アルケミー株式会社
代表取締役 桐山 宗久