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『自然体に見える理由』 スタバの教育と中小企業が学べること
先日、何気なく立ち寄ったスターバックスで、改めてスタッフの対応に驚かされた。
私は普通のホットコーヒーを注文したのだが、ちょうど豆の入れ替えのタイミングに当たってしまい、5分ほど待つことになった。
その間、試飲用のアイスコーヒーを渡してくれ、さらに受け取りの際には
「お待たせしてすみませんでした!」
と、新商品のコーヒー豆のサンプルまで手渡してくれた。
正直、これ以上ないフォローである。
待たされた不満など一瞬で吹き飛び、むしろ「得をした」と思えるほどだった。
スターバックスの教育プログラム
気になって調べてみると、スターバックスは社員教育に相当な力を入れている。
アルバイトを含め全従業員に、約80時間・2か月にわたる研修を行っているという。
さらに段階的に「成長の輪」を描く考え方を持っている。
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Phase1:自分は誰かの役に立っている
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Phase2:自分自身に対する期待感
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Phase3:他者への影響
単なるマニュアル習得に留まらず、スタッフ自身が「自分の存在意義」を感じながら働ける仕組みをつくっているのだ。
私が体験した「試飲」や「豆のプレゼント」も、マニュアルとして用意されていたのかもしれない。
しかし不思議と“マニュアル感”がなく、自然体に受け取れた。
これは理念と行動を結びつける教育の成果だろう。
当社との違い
私は経営者として、日頃から理念を社員に伝えている、つもりである。
当社の経営理念は「情熱と信頼で世界を拓く!」である。
ただ現実には、サービス品質を一定に保つため、どうしても「行動ベース」で指導をしてしまう。
もちろん、その行動の背景にある理念も伝えるのだが、伝え方や受け取り方に個人差があり、行動とのリンクが弱いと感じることがある。
スタバとの大きな違いは、「理念を腑に落ちるまで浸透させるために、時間を惜しまず投資している」点だ。
80時間・2か月という教育投資は、正直に言えば当社では実現できていない。
ただ、小規模なのでひとりひとりの顔を見て伝えることは可能だ。
工夫の余地はたくさんあるはずだ。
学びと次の一歩
私は「情熱」をまず社内に浸透させたいと考えている。
やってみよう!という前向きな気持ちがなければ、なにも始まらないからだ。
スタバの例を見て気づいたのは、理念を単に唱えるだけではなく、行動とつなげる翻訳作業が必要だということだ。
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「情熱」=「まず一歩やってみる」「最後までやり切る」
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「信頼」=「約束を守る」「安全を優先する」
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「世界を拓く」=「新しい方法を試す」「顧客にプラスアルファを提案する」
こうした“行動の翻訳”を繰り返し伝え、社員自身の体験として積み上げていけば、理念と行動の橋渡しができるはずだ。
スターバックスの自然体のサービスは、偶然ではない。
時間をかけて理念と行動を一体化させているからこそ、私たち客に「心地よい」と感じさせる。
私の会社においても、理念を「伝える」から「体験させる」方向に、一歩ずつ進めていきたい。
豊アルケミー株式会社
代表取締役 桐山 宗久