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ISO審査で試されるのは、会社ではなく社長の姿勢
ISO審査が教えてくれる、中小企業経営における「謙虚さ」
先月、当社でISO14001の審査が行われた。
私はこのような外部の人間が会社の中に入り、
第三者の視点で見てもらう機会を、
会社の健全性を守るうえで
非常に重要なものだと考えている。
だからISOの審査は、
いつも前向きに受け止めている。
中小企業の経営は、
どうしてもトップの判断に依存する。
良くも悪くも、社長の考え方が、
そのまま会社の空気になる。
だからこそ、
外の目が入るということには、大きな意味がある。
ISO14001とは何か
ここで、ISO14001について簡単に整理しておきたい。
ISO14001は、環境への取り組みを評価する国際規格である。
規格を定めているのは、
International Organization for Standardization、
いわゆるISOだ。
ただし、ここで注意したいのは、
ISO14001は
「環境にやさしい会社かどうか」
を直接評価するものではない、という点である。
問われているのは、
-
自社の事業が環境にどんな影響を与えているかを把握しているか
-
問題が起きたときに、きちんと是正・改善できる仕組みがあるか
-
その仕組みを、組織として回しているか
こうした経営の姿勢と仕組みである。
中小企業にとって、これは大切なことである。
ISO14001は「取得すること」よりも、
「どう向き合うか」が問われる制度だと感じている。
費用も手間もかかる、それでも取った理由
私がISO14001を取得するきっかけになったのは、
経営の先輩からの助言だった。
「アルミリサイクルという仕事は、環境と切り離せない。だから必ず取っておいた方がいい」
当時の私にとって、費用面の負担は正直きつかった。
加えて、運用していく大変さもある。
書類、記録、定期的な見直し。
どれも派手さはないが、確実に時間を取られる。
それでも今は、取って良かったと思っている。
理由は明確だ。
自分ひとりの考えだけで経営を続けることの危うさを、
年々強く感じるようになったからである。
中小企業ほど、謙虚さを失いやすい
中小企業の社長は、孤独と言われる。
最終判断を下すのは自分。
責任もすべて自分に返ってくる。
その環境に長く身を置いていると、
「自分が一番わかっている」
「自分の判断が正しい」
そう思ってしまう瞬間が、どうしても増えてくる。
ISOの審査員はコンサルタントではない。
しかし、第三者として、冷静に会社を見てくれる存在である。
そこで出てくる指摘や意見は、ときに耳が痛い。
だが、それを
「ウチはウチのやり方があるんだ!」
「現場を知らない人間の意見だ!」
と跳ね返してしまうのは、簡単だが、
危険の兆候だ。
外の声を拒むと、内の声も消えていく
外部の意見を聞かない経営者は、
やがて社内の声も聞かなくなる。
これは、世の中の経営者を見ていて
私自身が気を付けなければならないと
感じていることだ。
「どうせ言っても無駄だろう」
社員がそう感じ始めた瞬間、会社は歪み始める。
ISOの審査は、会社の環境対応をチェックする場であると同時に、
経営者が、他者の意見を受け入れる姿勢を持っているか
を、問われる場ではないだろうか。
押し通す力と、頭を下げる力
もちろん、審査員の意見がすべて正解ではない。
経営判断は、最終的には社長が下すべきものだ。
ただし、
自分の意見を押し通す力と、
自分の考えを疑い、学ぶ謙虚さ。
この二つを同時に持てるかどうかが、
中小企業の経営者にとって、最も重要な資質なのではないかと思う。
ISO14001は、
環境のための制度である前に、
経営者自身の姿勢を映し出す鏡なのだ。
私は、そう感じている。
豊アルケミー株式会社
代表取締役 桐山 宗久