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「根回し」というひと手間
「根回し」という言葉を、私たちはビジネスの現場で頻繁に耳にする。
どこか泥臭く、古い慣習のように聞こえるかもしれないが、その本質は決して難しいことではない。
要は、物事を円滑に進めるための「事前の手入れ」である。
今日は、もっと身近な「有給休暇」という場面から、この根回しについて考えてみたい。
制度を動かすのは「感情」である
社員が有給休暇を取りたい。
これに対し、経営者としての私の答えは
「どうぞ」
の一言に尽きる。
有給休暇は正当な権利であり、
休む理由を事細かに説明する必要などどこにもない。
しかし、制度上は「どうぞ」であっても、
現場には必ず「周りに関わる人」が存在する。
自分が休めば、当然その穴を誰かがカバーしなければならない。
そこで、あらかじめ一言「お願いします」と伝え、
業務に関わる必要な情報を共有しておく。
それだけで、現場の摩擦は最小限に抑えられる。
誰に、どのタイミングで伝えるか。
事前に上司の了承を得ておくことは、
単なる手続きではなく、
組織をスムーズに回すための知恵である。
「当たり前」という甘えを捨てる
もちろん、部下が抜けた穴をどう埋めるかを考えるのは、
上司の仕事である。
だが、それを
「上司の仕事なのだからやって当然だ」
と居直ってしまうのは、
あまりに想像力が欠けていると言わざるを得ない。
自分の立場や役割に応じ、
自分でやれる範囲のことを整理して伝えておく。
その小さな手間が、周囲に対する「誠意」として映るのだ。
制度や仕組みを盾にして、
人間関係を無視した振る舞いを続けていれば、
周囲からは
「扱いにくい人」
という評価を下されることになる。
社会という大きな枠組みの中で
「それで構わない」
と割り切る生き方もあるだろう。
しかし、こうした対人的な配慮ができるか否かは、
社内の評価に留まらない。
社外での仕事、
ひいては社会全体の中で
自分がどのような評価を受けるか。
その鏡のようなものである。
まず自分の行動が、
自分の周りにどんな影響を
あたえるかを意識し、
事前に対応できることはしておく。
「根回し」という、そのささやかな配慮こそが、
実は自分自身を助けることになるのである。
豊アルケミー株式会社
代表取締役 桐山 宗久