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理解と迎合は違う―授業参観で見た、マネジメントの本質―
小学校の授業参観に足を運んだ。
低学年の教室は、ある意味で“カオス”である。
先生の指示通りに動かない子供がいる。
思いつきで発言する子供もいる。
話の流れとは関係のないことを口にする子供もいる。
しかし、それは想定内なのだろう。
先生は一切、感情を引きずられていなかった。
だからといって無視するわけでもない。
不規則な発言を、うまく授業の流れの中に取り込んでいく。
かといって、厳しく指導するために全体を止めることもしない。
場は流れ続けている。
そして、崩れない。
見事だと思った。
この光景を見ていて、ひとつの気づきがあった。
相手を理解しようと努めることと、迎合することは違う。
理解しているからこそ、振り回されない。
しかし、理解しているからこそ、無視もしない。
この絶妙な距離感。
これがマネジメントなのだと感じた。
先生は授業をマネジメントしている。
そう考えると、経営者とやっていることは本質的に同じである。
社員が生徒だとすれば、
組織という場を成立させる責任は、経営者にある。
では、現実はどうだろうか。
人の問題を抱える経営者を見ていると、
いくつかの共通した傾向がある。
・感情や思いつきでの発言が多く、一貫性に欠ける
・人には求めるが、自分はできていない(言行不一致)
・厳しく言えば何とかなると思っている
こうした状態では、場は簡単に崩れる。
その場その場の感情で発言が変われば、
何が正しいのか分からなくなる。
言っていることとやっていることが違えば、
誰も本気では受け取らなくなる。
厳しさだけを前面に出せば、
一時的に従うことはあっても、持続はしない。
結果として、組織は“止まる”。
一方で、先の先生は違った。
場の中に不規則な要素があっても、
全体の流れを止めない。
個を見ているが、場を優先している。
そして何より、言動に一貫性がある。
だから、場が成立する。
“場”とは、学びたい児童が学べる環境のことである。
ここにある違いは、能力の差ではない。
自分をコントロールできているかどうか。
ただそれだけである。
年齢が若いかどうか、
経験が浅いかどうか、
それは大きな差ではない。
人を動かそうとする前に、
自分の言動は一貫しているだろうか。
厳しさで押していないだろうか。
その場の感情で判断していないだろうか。
理解しているつもりで、
実は迎合してしまっていないだろうか。
マネジメントとは、感情で場を動かすことではない。
構造と一貫性で、場を成立させることである。
そう考えると、この問いはそのまま自分に返ってくる。
私は、場をつくれているだろうか。
他人のことはよく見える。
しかし自分自身を正確に認知することは難しい。
だから多くの経営者は悩むのだ。
豊アルケミー株式会社
代表取締役 桐山 宗久