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見えない疲労。「嫌い」の感情が組織に与える影響
組織の中には、「好き嫌い」で相手を判断してしまう人がいる。
もちろん人間同士なので、合う合わないはある。
全員と仲良くしろというのは現実的ではない。
私にも気が合う人、そうでない人はいる。
ただ、一時の感情のもつれを何年も引っ張り続けることは、あまり健全ではないと思っている。
本人たちは「これは当事者同士の問題」と考えていることが多い。
しかし実際は違う。
その影響は、必ず周囲に広がっていく。
当事者より周りが疲弊している
嫌いな人同士の周囲にいる人は、驚くほど気を使っている。
「あの人とあの人を同じ席にしない方がいいかな」
「あの話題は避けた方がいいかもしれない」
「今日はあの人がいるから、こちらに声をかけよう」
そんな配慮が、あちこちで発生する。
本人たちは気づいていない。
しかし周囲は、組織の目的を達成するために、見えない調整役をやっているのである。
本来不要なはずのエネルギーが、人間関係の交通整理に消えていく。
これは組織にとって非常にもったいない。
「あの人がいるなら行かない」が生むもの
「あの人とは一緒にいたくない」
「あの人がいるなら参加しない」
そう思うこと自体は、仕方がない。
感情だからである。
しかし問題は、その選択によって第三者に負担が発生していることだ。
誰かが間に入り、誰かが空気を読み、誰かが調整する。
そして多くの場合、その役目を担う人ほど何も言わない。
だから見えにくい。
しかし確実に組織は疲弊していく。
根本原因は「敬意」の不足である
こうした問題の根っこは何か。
私は「敬意」だと思っている。
相手が年下だから。
女性だから。
子供だから。
後輩だから。
経験が浅いから。
そういう基準で、無意識にマウントを取る人がいる。
自分の方が上だと思っている。
だから相手を軽く扱う。
だから衝突が起きる。
そして厄介なのは、こうした性質はなかなか変わらないことである。
正直に言えば、注意したから治るものではない。
リーダーは「空気」をつくる仕事
だからリーダーがやるべきことは、個人を変えることではない。
組織の空気を整えることだと思う。
こうした態度を許容しない雰囲気を作る。
敬意を持つことが当たり前の文化を作る。
人には社会性がある。
周囲が前向きで、互いを尊重する空気の中では、自分だけズレた言動を続けるのは難しい。
だんだん浮いてくる。
居心地が悪くなる。
そこで人は二択になる。
態度を改めるか。
去るか。
多くの場合は、去る方を選ぶ。
組織にも「気」がある
神社やお寺へ行くと、不思議と空気が違うと感じることがある。
静かで、落ち着いていて、なんとなく良い気が流れている。
科学的に説明できるかは分からない。
しかし人は確実に「空気」を感じている。
組織も同じだと思う。
なんだか居心地がいい組織。
話しやすい組織。
自然と協力したくなる組織。
逆に、入った瞬間に疲れる組織もある。
目に見えないが、確かに存在している。
リーダーの仕事は、売上を作ることだけではない。
組織の「気」を良くすること。
それもまた、とても大切な仕事なのだと思う。
豊アルケミー株式会社
代表取締役 桐山 宗久