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行動と行動が重なると、見える世界が広がる
友人と二人でドイツとチェコへ
友人と二人で、ドイツとチェコへ旅行に行ってきた。
もともとのきっかけは、私自身の仕事であった。
ドイツで、仕事に関わる展示会があり、そこに行ってみたいと思ったのである。
当初は一人で行くつもりだった。
ところが、私がドイツに行くという話を聞きつけた経営者の友人が、
「自分も一緒に行ってもいいか」
と声をかけてくれた。
彼は日本でクラフトビールを生産している。
しかも、そのビールはチェコ仕込みのものである。
ドイツにも興味がある。
そして、隣国のチェコにもぜひ行ってみたい。
そんな提案であった。
私はもちろん、いいですよ、と答えた。
自分の目的に、友人の目的が重なる
正直に言えば、私にとってチェコは当初、それほど強い目的地ではなかった。
自分の本業である金属リサイクルと、チェコが直接つながるというイメージはあまりなかったからである。
ただ、ドイツの隣国であり、移動にもそれほど時間がかからない。
せっかくドイツまで行くのであれば、ついでにチェコへ行くのも面白いだろう。
その程度の感覚であった。
また、私は友人のビールづくりを応援している立場でもある。
本場のビール文化や、ビールづくりに関わる土地に行ってみることは、きっと彼にとって意味があるだろう。
そう思い、一緒にチェコへ行くことにした。
結果として、これは非常によかった。
最初は、私の仕事の目的から始まった旅である。
そこに友人が加わった。
さらに、友人の興味であるビールという切り口が加わった。
その結果、私一人ではおそらく行かなかったであろうチェコに行くことになった。
行動に、別の行動が重なったのである。
チェコは自分の仕事と無関係ではなかった
チェコに行ってみて、私は大きな発見をした。
それまで私は、チェコという国を、自分の仕事とはあまり関係のない国だと思っていた。
ところが、現地で見聞きし、少し調べてみると、実はチェコは工業国であることがわかった。
ドイツの隣国であることも大きいのだろう。
自動車産業をはじめ、ものづくりの土壌がしっかりとある国であった。
私は海外へ行くと、街を走っている車を見るのが習慣になっている。
どこのメーカーの車が多いのか。
どの国の車がその土地で支持されているのか。
そういうことを見るのが面白い。
チェコでも、自然と車に目が向いた。
すると、見たことのないエンブレムの車がたくさん走っている。
友人に聞いても、どこのメーカーかはわからない。
調べてみると、それはチェコの自国メーカーの車であった。
そこで初めて、チェコには自国の自動車メーカーがあり、自動車産業が根付いていることを知った。
私にとっては、意外な発見であった。
自分の仕事とは関係がないと思っていた国に、実は工業という接点があったのである。
プラハの街に残る金属の美しさ
もう一つ驚いたのは、首都プラハの街並みである。
プラハには、中世から続くような建物が広範囲に残っていた。
しかも、それが観光地の一角だけではなく、街全体に広がっているように感じられた。
建物の外観だけではない。
ドアノブ、金具、装飾、扉、窓枠。
そうした細部に使われている金属製品が、非常に美しかった。
私は金属を扱う仕事をしているので、どうしてもそういうところに目が行く。
装飾としての金属。
生活の中に溶け込んだ金属。
機能だけでなく、美しさを持った金属。
そうしたものを見ていると、この国にはもともと、ものづくりや手仕事に対する深い素地があったのだろうと思わされた。
そして、それが今の工業にもつながっているのではないか。
そんなことまで考えるようになった。
一人では見えなかったもの
最初から一人でドイツだけに行っていたら、こういう発見はなかったかもしれない。
私の目的は、仕事に関わる展示会であった。
そこに友人の目的が重なった。
友人の目的は、ビールであり、チェコであった。
私にとっては、自分の関心の外側にあったものだった。
しかし、実際に行ってみると、その外側にあったものの中に、自分の関心とつながるものが見えてきた。
これが面白いところである。
自分一人の行動には、自分の関心しか乗らない。
しかし、そこに誰かの行動が重なると、自分の関心だけでは届かなかった場所へ行くことができる。
動詞と動詞、行動と行動の重ね合わせ
自分の目的に、他人の目的が重なる。
自分の興味に、他人の興味が重なる。
自分の視点に、他人の視点が重なる。
すると、旅の意味が変わる。
これは旅行に限った話ではないと思う。
仕事でも同じである。
学びでも同じである。
人との出会いでも同じである。
一人で考えていると、自分の考えの範囲に収まってしまう。
自分の目的だけで動いていると、自分が想定した範囲の成果しか得られない。
しかし、そこに誰かが加わると、違う動詞が重なる。
行く
見る
聞く
調べる
話す
考える
気づく
一つひとつの行動は小さくても、それが重なったとき、思わぬ発見が生まれる。
人と一緒に動く価値
今回の旅は、まさにその体験であった。
私がドイツへ行く。
友人がチェコへ行きたいと言う。
二人で現地へ行く。
街を歩く。
車を見る。
金属製品を見る。
歴史を感じる。
調べる。
そして、自分の仕事との接点に気づく。
動詞と動詞が重なり、行動と行動が重なったことで、自分一人では見えなかった世界が見えた。
人と一緒に動くことの価値は、そこにあるのだと思う。
自分の目的だけでは開かない扉がある。
その扉は、誰かの興味や行動が重なったときに、ふいに開くことがある。
今回のドイツとチェコの旅は、まさにそういう旅であった。
豊アルケミー株式会社
代表取締役 桐山 宗久